水質検査 食品分析
 当社のグループ会社・㈱日本総合科学では、厚生労働省登録水道法検査機関・建物飲料水水質検査業・食品衛生法登録機関・計量証明事業・環境省土壌汚染状況調査指定機関・温泉分析登録など多くの分析や調査事業を行なっています。
 日頃お取引頂いております皆さまを始め、食品加工業・福祉施設や教育機関からの幅広いご要望に対して、日本総合科学と連携して質の高いサービス提供に努めております。
 ここでは皆さまから、よくお問い合わせをいただく事業を、ご紹介します。
 なおここで、ご紹介する事業の検体回収・採水などのお客様へのサービスは当社でも行なっております。
飲料水・ビル管・水道法浴槽水・プール水室内空気環境栄養分析異物検査
異物検査
異物検査
 食品や飲料水に対する異物混入クレームはいまだに増加する傾向にあります。食の安全性に対する意識が高まり、消費者の異物を認識する力が向上していることも一つの理由です。中には、製品の一部を異物と誤認するケースもあるようです。異物混入の再発防止改善策の第一歩として、異物が何であるかを知ることは非常に重要なことです。科学的な検査により異物の正体を明らかにすることで、混入経路を推測することができます。

当社では、さまざまな手法を用いて異物の正体を明らかにします。

異物検査の進め方
①主体が有機物と思われる場合
     例)プラスチック・ゴム,木片,母材の一部や変色物
 フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)
 プラスチック、ゴム、セルロース、食品の破片、油、塗料、薬品などの主に有機物を測定する場合に最も適した分析手法です。本装置は1回反射ATRシステムです。厚みのある固体や粉体、液体など様々な形態の試料を測定することが可能です。

②主体が無機物と思われる場合
     例)金属片,鉱物,鉄錆
 エネルギー分散型蛍光X線分析装置による元素分析
 金属片、鉱物などの主に無機物を測定する場合に最も適した分析手法です。装置内蔵のカメラで観察しながら検査対象物を絞り込み、元素分析を行います。元素検索の領域は原子番号6番のC(炭素)から92番のU(ウラン)までで半定量値を求めることが可能です。

③生物(昆虫等)と思われる場合
     例)ハエ,ゴキブリ,寄生虫
 顕微鏡観察,カタラーゼ試験など
 昆虫などの生物の場合、顕微鏡観察により同定を行います。
 昆虫の種類を特定することにより、侵入経路、行動範囲や発生源などを推定することができます。また、種類が分かれば、害虫対策や害虫駆除方法も特定できます。
 異物として混入した昆虫が、加熱処理されているかを推定する試験にカタラーゼ試験があります。昆虫などの生物にはカタラーゼという酵素が存在するため、過酸化水素水(H2O2)に昆虫を漬けると酵素とH2O2が反応して気泡を生じます。昆虫が加熱処理されていれば、酵素活性がなくなり気泡を生じなくなるため、どの製造段階で混入したのかを推定をすることができます。

④その他いろいろ
     例)微生物,毛髪,血痕
 その物質の解析に適した方法を選定
 例えば、異物が細菌の塊であると推測できる場合、簡便な方法としてグラム染色法があります。一部を除いてほとんどの細菌が染色され、グラム陽性菌か陰性菌に大別されます。グラム陽性菌にはブドウ球菌,レンサ球菌等があり,グラム陰性菌に含まれるものには腸内細菌科,ビブリオ科,シュードモナス科などがあります。

フーリエ変換赤外分光装置(FT-IR)
フーリエ変換赤外分光装置(FT-IR)
エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)
エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)
実際の検査事例
事 例 1
混入品名 食品(肉)
検体 スジ状異物
検査方法 フーリエ変換赤外分光分析
検査結果

 スジ状異物の主要成分はポリアミド化合物(蛋白質類)と判断されました。分析結果及び観察される様子から、異物は動物組織や食品類の一部(皮,スジ等)と推測されます。

コメント

 蛋白質類は動物組織を構成する主要な成分であり、その加工品である食品類も同様の成分になります。


スジ状異物 外観写真
事 例 2
混入品名 ミネラルウォーター
検体 沈殿異物
検査方法 エネルギー分散X線マイクロアナライザによる元素分析
検査結果

【沈殿異物検出元素(半定量値 wt%)】
酸素(O)…49.7,カルシウム(Ca)…33.8,炭素(C)…15.6,硫黄(S)…0.4,マグネシウム(Mg)…0.3,珪素(Si)…0.2
 検出元素と各定量値より、沈殿異物の主要成分は炭酸カルシウム等のカルシウム化合物と判断されます。

コメント

 炭酸カルシウムは鉱物として産出される他、チョーク、肥料、ゴム、プラスチック、塗料、歯磨き粉、医薬品、化粧品、食品の添加物等、様々な用途に使用されています。


沈殿異物 実体顕微鏡写真
事 例 3
混入品名 加工食品
検体
検査方法 顕微鏡観察による虫の同定,カタラーゼ試験
検査結果

【同定結果】
  カメムシ目の一種
【カタラーゼ試験】
  陽 性

コメント

 この虫は加熱されていませんでした。


虫 外観写真
事 例 4
混入品名 嗜好飲料容器内(推定)
検体 フィルム状異物
検査方法 フーリエ変換赤外顕微分光分析,顕微鏡観察,グラム染色
検査結果

 フィルム状異物の主要成分はポリアミド化合物(蛋白質類)及び多価アルコール類(糖類等)と判断されました。また、顕微鏡観察により、グラム陰性桿菌及び酵母と推定される微生物に構成されている様子が観察されました。分析結果及び観察される様子から、異物はバイオフィルム(微生物の塊)と考えられます。

コメント

 ポリアミド化合物(蛋白質類)や多価アルコール類(糖類等)は生物(動植物組織等)を構成する主要な成分です。


フィルム状異物 外観写真

フィルム状異物(グラム染色後)
生物顕微鏡写真(100倍)

フィルム状異物 生物顕微鏡写真(400倍)

フィルム状異物(グラム染色後)
生物顕微鏡写真(1000倍)
赤色に染色されているもの
:グラム陰性桿菌
青色に染色されているもの
:酵母と推定される微生物


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